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SH-Mobile ラボの使命は、2010-15年におけるモバイル・ユビキタス社会のビジョンを探ることです。それも、従来の「研究会」とは異なり、メンバーはアイデアを提示するだけでなく、それを現実のものとするよう求められています。(このウェブで報告している「ユビキターブル制作」および「ウェアラブル実験」が、実現しつつあるアイデアです。)
しかし、現実の制作や実験は、種々の作業や段取りのなかで、かえってもともとのコンセプト(問題意識やビジョン)を見失わせがちです。この「コンセプト映像」は、曖昧になりかねない制作意図やビジョンを的確にとらえ、端的にまとめ、明示する試みです。これが、渡辺氏の仕事となります。
2004年度のSH-Mobile ラボが生み出した数々のアイデアを、渡辺氏が解釈し、シナリオを書いて、トータル3分程度の映像作品とすること。手法は、静止画(都市などの実景)にヴィジュアルエフェクトを加えたFlashアニメーション。撮影やヴィジュアルエフェクトはクリエイター集団「4scandals」の西田氏、高木氏が担当。
この映像は、秋冬に予定される展示会で上映され、また、ウェブサイト上でも公開されることになっています。

渡辺氏の「コンセプト映像」は、下記、全メンバーのアイデアをヴィジュアライズしています。

竹村真一氏のアイデア(2004年度活動報告会より)
太田浩史氏のアイデア(2004年度活動報告会より)
福冨忠和氏のアイデア(2004年度活動報告会より)
八谷和彦氏のアイデア(2004年度活動報告会より)

コンセプト映像・チーム構成

全体統括/
ディレクション
渡辺保史氏 SH-Mobileラボ コアメンバー
映像制作 西田幸司氏
ディレクター/デザイナー。倉敷芸術科学大学 ガラス工芸学科卒業後、フリーランス。
http://www.4scandals.com/
http://www.raku-gaki.com/

高木久之氏
ディレクター/デザイナー。神戸大学工学部情報知能工学科卒業。デザイン事務所を経てフリーランス。主な受賞歴に、Skockwave.com2001、SonyMusicDEP2001、NTTドコモMOMO2002など。
http://www.4scandals.com/
http://www.wildcard.jp.org/

制作レポート:テーブルデザイン編(2005年9月中旬取材)

撮影前に綿密な打ち合わせ。

渡辺氏「今までの未来ビジョンは、SF映画のようなテクノロジーやガジェットを盛り込んだ、かっこいいものでした。でも、どんなにSFチックな空間や先端的なシチュエーションを作っても、すぐに陳腐化するんですよ。そういうのは絶対いやだった。そこで、あえて逆の手法をとろうと思った。ぼくが学生時代から好きだった映画『ラ・ジュテ』やゴダールの『アルファビル』のように、現実の都市を未来都市に読み変えるんです」
演技指導をしながら撮影を進める。

渡辺氏「この映像で描くのは、先進的なハードウェアやシステムの姿ではありません。だから、テクノロジーやツールのディテールには、あえてこだわらない。それらが実装された未来の都市のコミュニケーション体験そのものを描き出すのです」
見えない情報を見る。都市に埋め込まれた情報をピックアップする。そのような装置としてのケータイやウェアラブルコンピュータを、なんと「虫眼鏡」を使って表現している。また、ユビターブル上で交換・共有される情報は、「カード」によって表している。
渡辺氏「都市情報をピックアップする装置を虫眼鏡にした、その理由ですか。もしこれを、アイグラスディスプレイをつけて風景を見るとこう見えます、と表現してしまったら、もろにサイバーパンクみたいな表現になっちゃいますよね。そこまで行かない、もうちょっと手前で押しとどめたかったんですよ」
SH-Mobile ラボのワークセッションをまとめ、コンセプトもまとめる。調整という難役をこなす渡辺氏。
渡辺氏「ケータイのチップは、今、ものすごいパワーを持っている。ひと昔前のパソコンぐらいの。でも、まだ、その潜在的なパワーの何分の一しか使っていないように感じるんです。今、ビジネスの世界やエンジニアリングの世界で言われている以上のことができなくちゃいけない。そのためには、考えなければいけないことがいっぱいある。ぼくらは、その部分をクローズアップして、議論してきた。これほどのものなのだから、もっと別の使い方ができるんじゃないの、と提案しているわけです」
4scandals事務所で語る西田氏。
西田氏「究極のデジタル化は、究極のアナログ化。現に、最先端のデジタル技術は、自然な音の再生とか、いかにアナログに近いかを競っているでしょ。ということは、未来の世界は、超アナログな、自然な世界ですね。そのときは、カフェスローみたいなところで、ゆったりコミュニケーションをとってる姿が自然だろうなと……」
4scandals事務所で語る高木氏。
高木氏「今回の仕事では、西田さんがアートディレクター兼デザイナーで、全体の構成とか絵作りをやります。ぼくは、それにヴィジュアルエフェクトをつける。つまり、ラインが動くとか、光で文字が出るとか、そういう部分の演出ですね。パッと見ておもしろいのって、ぼくは大事だと思うんです。え、ぼくが尊敬する人ですか? 人ではないけど、ドラえもん」

取材を終えて

この映像は、「ウェアラブル実験」や「ユビキターブル制作」など、SH-Mobile ラボの他のメンバーの活動の意味を要約して見せているだけではありません。
未来のデジタル技術をアナログなトーンで表現する、先端テクノロジーをスローな道具立てで象徴する、等々。その撮り方、見せ方によって、渡辺氏たち映像制作スタッフのビジョンと意志と個性とを強烈に主張する、独立した作品なのです。




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