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ユビキタス都市経験を研究する竹村真一氏。そして、インテリアから都市まで、ユビキタス時代のデザインを探求する太田浩史氏。このふたりのアイデアの合体・融合して生まれたユビキタス時代のテーブルが「ユビキターブル」です。
ユビキターブルの天板は、タッチスクリーン。そこにマグカップ(あるいはケータイ)を置くと、個人の情報がテーブルトップ上に流れ出します。ユビキターブルは、それを囲む人々の情報交換、情報共有のツールとなります。
しかし、それだけではありません。テーブル周辺の気配や、遠い場所の映像など、発信者や目的が明示されない、ノイズのような情報もテーブルトップに反映されていきます。つまり、ユビキターブルは、意図的に情報をやりとりするための便利なツールであるだけでなく、予期せぬ出会いが生まれ、新たなコミュニケーションが創り出されていく広場でもあるのです。

竹村氏のアイデア(2004年度活動報告会より)
太田氏のアイデア(2004年度活動報告会より)

ユビキターブル・チーム構成

全体統括/
ディレクション
竹村真一氏 SH-Mobileラボ コアメンバー
テーブルデザイン 太田浩史氏 SH-Mobileラボ コアメンバー

山家京子氏
東京大学大学院修了(建築・都市計画学)。現在、神奈川大学工学部建築学科助教授・アーキプロ取締役顧問。主な著書に「図説日本建築年表」(2002年、彰国社)、「建築史の回り舞台−時代とデザインを語る」(1999年、彰国社)、作品に「トーキョー」(2001年)、「せんだいメディアテーク」(1994年)など。

山家研究室
栃澤克次氏(神奈川大学大学院)
石井啓輔氏(神奈川大学大学院)
井口恵之氏(神奈川大学大学院)
インタフェースデザイン アラカワケンスケ氏
インタラクティブメディアデザイナ、映像作家。岩手県盛岡市出身。WSA-JAPAN
2005最優秀賞を受賞した内閣府「日本改革前線マップ」ではインタフェースザイン・Flash実装を担当した。他に「100万人のキャンドルナイト」、さくらスケープなど多数。
プロトタイプ制作 岩政隆一氏
株式会社GKテック取締役社長。ユーザインタフェースやコンピュータ制御によるオブジェなど、数々のデザインプロジェクトを手がける。最近の作品には内田洋行コーポレートミュージアムの「プロジェクションテーブル」や、愛知万博・瀬戸会場の市民パビリオンで行われた実験「地球回廊」などがある。

制作レポート:テーブルデザイン編(2005年9月中旬取材)

デザインについて神奈川大学の山家京子研究室で話し合う。

太田氏 「テーブル上で話すことって、多くは今ここではない事柄ですよね。そういう意味ではバーチャルな性質もあるのだけれど、テーブルには人がいるから、誰かがクシャミしたりして、ハッと現実に引き戻される。バーチャルなものもリアルなものも同時にあって、それを行ったり来たりするのがテーブルの特徴。ひとりで使うデスクだと、バーチャルな世界へ行ったきりになりやすいんじゃないかな」
太田氏とともにユビキターブルをデザインする山家氏。情報化時代における都市のビジョンを探究している。

山家氏 「昔から都市の人々は、広場やカフェで話をしていた。それが、すべてネット上に移行してしまうという意見もあるのだけれど、実際はそうはならない。情報空間と現実空間って、対立するものではなくて、シーンの中にどっちもあると考えるほうが自然なのかなあと」
模型を作り、細部を検討していくテーブルデザインチーム。

太田氏「現在の問題点ですか。力学的な問題、技術的な問題が、まだいくつかあります。それから、プレゼンテーションの問題ですが、新しい時代のテーブルに見せることが難しい。テーブルは要素が少ないし、技術革新もないから、100年前も今も、そんなに違って見えないんですよ。パッと見ただけで新しいと思わせるデザインは、難しい……」
ユビキターブルの外観や性格についても、熱心に話し合う。

太田「コーヒーをこぼすと、赤ランプがつくみたいな(笑)。ちょっと笑えるところがあってもいいよね」
山家「それはいいよねー。私もユーモア路線、好き。でも、竹村さんのおっしゃる“洛中洛外図”のイメージに、ちょっと反するかな。」
― (それなら、雷にしてみるとか) ―
太田「大事件だあ、みたいな(笑)」
ハードスケジュールの太田氏。前日徹夜にもかかわらず、会議となれば、次々とアイデアを生み出していく。

太田「テーブルトップの雲がはけると、そこに福冨さんのようなモバイルマンが現れたりする。今、交通事故があったとか、リアルタイムの情報が送られてきたり。また反対に、福冨さんが駅に向かって歩いていると、こっちのほうが近道だよって、教えたり。有益な情報のほかに、スパムのような、雑音のような情報も行き交うはず。福冨さんが見えるというこちらの状況もおもしろいけど、福冨さん自身もそうとうおもしろい経験をするんじゃないかな」

取材を終えて

未来のコミュニケーションツールを想像するとき、私たちはしばしば、それによって何ができるようになり、どれほど便利になるか、という話題に終始してしまいます。しかし、ユビキターブル・チームは、新技術によって実現する未来の利便性を探っているというより、新しい「社交空間」の創出を目指しているように見えます。
「人と人をつなぐケータイ」の進化の先には、人々の合理的・機能的・機械的な結合の拡大があるのではなく、かといって反対に、過剰にウェットな人格的結合があるのでもなく、軽やかでさわやかな新しい「社交性」があるのかもしれません。




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